ファンクショナルトレーニングが変える、あなたの身体

◾️レスラーはなぜ、あんなに動けるのか
突然ですが、レスラーってなぜあんなに運動能力が高いか知ってますか?
テレビで見るプロレスじゃなくて、オリンピック競技のレスリング
あの選手たちの動きを見ると、ただ「筋肉がある」という言葉では説明できない何かがあります。瞬発力、柔軟性、バランス、相手の動きへの反応速度。全部が高い次元で揃っている。
筋肉量だけで言えば、ボディビルダーやパワーリフターのほうが上です。
でもあの「動ける感じ」は別次元です。
その理由はレスリングの練習
走る・組む・投げる・逃げる・倒れる・起き上がるの繰り返しです。
タックルに入るときは股関節から全身を一気に前にパワーを出す
相手を投げるときは足・腰・背中・腕が一瞬で連動します
倒されそうになったとき体を入れ替えるには、重心を瞬時にコントロールする感覚が必要です。
これ、全部「全身を連動させた動き」のトレーニングそのものです。
私は現役時代、「ファンクショナルトレーニング」という言葉すら知りませんでした。
でも今思えば、毎日の練習のほとんどがファンクショナルトレーニングでした。
だからレスラーは運動能力が高い。
筋肉があるからじゃなくて、「身体の使い方」を徹底的に鍛えているからです。
◾️大きな筋肉と使える筋肉は別物
筋肉には大きく分けて二種類あると私は考えています。
「大きな筋肉と「使える筋肉」です。
鍛えた筋肉とは、レジスタンストレーニング(スクワット・デッドリフト・ベンチプレスなど)によって肥大・強化された筋肉のこと。
見た目が変わる、数値が上がる、たしかに大事なトレーニングです。
でも「使える筋肉」は違います。
実際の動作の中で、他の筋肉や関節と連動して機能できる筋肉のことです。
わかりやすい例を出すと、ジムでベンチプレス100kgを上げられる人が、重い荷物を持って動こうとしたとき腰を痛めることがあります。
それは胸の筋肉は強くても、体幹・股関節・背中が連動して「荷物を持って動く」という動作に対応できていないからです。
ゴルフで言えば、腕力はあるのにスイングがぶれる
体幹トレーニングをやっているのに体の回転が遅い
これも同じ理由です。
部分的に鍛えた筋肉は、動作の中で「使える状態」になっていないことが多い。
ファンクショナルトレーニングで得られるのは、この「使える筋肉」です。
◾️ファンクショナルトレーニングとは
ファンクショナルトレーニングとは、動きのトレーニングです。
特定の筋肉を単独で鍛えるのではなく、複数の筋肉・関節・神経系が連動した「動き」を通じて体全体を機能的に整えるトレーニング。
具体的にはこういった動きが代表的です。
メディシンボールを使ったチョップ動作 体の斜め前方に向かってボールを振り下ろす・振り上げる動き。股関節・体幹・肩甲骨・腕が一瞬で連動します。
ゴルフのスイング、テニスのストローク、日常での荷物の持ち上げなど、あらゆる「ひねり動作」の基礎になります。
ラテラル(横方向)への重心移動 左右に素早く重心を移しながら動く動き。
普段の歩行や階段の上り下り、スポーツの方向転換など、実は横方向の動きは日常に溢れています。
でもデスクワーク中心の生活ではほぼ使わない動作なので、最初はかなりぎこちなくなります。
対角線上の動き 右手と左足を同時に動かすなど、体の対角線を使った動き。これが自然にできるかどうかが、全身連動の指標になります。
歩く・走るという動作の根本にある動きパターンです。
これらに共通するのは、「止まった状態で筋肉を収縮させる」のではなく、「動きながら体全体を使う」こと。
最初は軽い負荷でも十分で、むしろ正しい動きのパターンを習得することの方が大事です。
◾️なぜ30〜50代の会社員にこそ必要なのか
デスクワーク中心の生活を何年も続けていると、体には確実に変化が起きます。
椅子に座った状態が基本姿勢になるので、股関節は曲がったまま固まっていく。
前傾みで画面を見る時間が長いので、胸椎(背骨の胸の部分)は丸まって固まっていく。
体幹を使う機会がないので、腹部と背部の筋肉は連動しなくなっていく。
この状態で「運動しよう」とジムに来て、いきなり高負荷のトレーニングをすると正直危ない。
固まった股関節のままスクワットをすれば腰に来る。
胸椎が固まったままベンチプレスをすれば肩を痛める。
でも問題はそれだけじゃありません。
体がパーツごとに分断された状態では、日常生活のパフォーマンスそのものが落ちていきます。
腰だけで動こうとするから、長時間歩くと腰が痛くなる。
腕だけで荷物を持ち上げようとするから、ぎっくり腰のリスクが上がる。
体幹が使えないから、長時間のデスクワークで異常に疲れる。
首だけで振り返ろうとするから、肩こりが慢性化する。
これ、筋力が落ちたからじゃないんです。体の「連動」が失われているからです。
ファンクショナルトレーニングはこの連動を取り戻すところから始まります。
だから効果が出てくると、体の変化がいろんな場面で出てきます。
◾️実際に起きた変化
パーソナルトレーニングでファンクショナルを取り入れたクライアントさんたちに起きた変化を、いくつか紹介します。
ゴルフのスイングがぶれなくなった 股関節と体幹の連動が改善されると、スイング軸が安定します。腕力でクラブを振るのではなく、体全体の回転でボールを飛ばせるようになるから、ブレが減る。「同じコースで急にスコアが変わった」という報告は何度も聞いています。
ラウンド後半でバテなくなった ゴルフは18ホール、4〜5時間歩き続けるスポーツです。体の連動が悪い状態だと、一部の筋肉だけに負担が集中するので消耗が早い。
全身をバランスよく使えるようになると、同じ運動量でも疲れ方が全然違います。
骨盤が動くようになって、歩くスピードが上がった これは印象的なケースでした。
もともと歩くのが遅く、長距離歩くと腰が重くなるという悩みだったんですが、骨盤の動きと股関節の連動を改善したら歩き方そのものが変わった。
「歩くのが楽しくなった」という言葉が嬉しかった。
姿勢が変わった 猫背・巻き肩・首が前に出る、という姿勢の問題は、筋力不足だけが原因じゃありません。胸椎・肩甲骨・体幹が連動して動ける状態になると、姿勢は自然と変わっていきます。「座っているのが楽になった」「首こりが減った」という変化もよく聞きます。
◾️続けると、重力すら無視できるようになる
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、これは本当の話です。
ファンクショナルトレーニングを長期間積み上げていくと、体の動きの「次元」が変わってきます。
体の各部位が完全に連動して、重心を自在にコントロールできる状態
動きの中で重力に逆らうのではなく、重力を使いながら動けるようになる感覚
私自身が今それを実感していて、「これはレジスタンストレーニングだけではたどり着けなかった」と確信しています。
もちろん最初からそこを目指す必要はありません。最初はメディシンボールをひとつ、ゆっくり振るだけでいい。体が「動き」を覚えていくにつれて、少しずつ連動の感覚が出てきます。
その積み重ねが、気づいたときに体の可能性を大きく広げていきます。
まとめ
- ファンクショナルトレーニングとは「動きのトレーニング」特定の筋肉を単独で鍛えるのではなく、全身を連動させた動きを通じて体を整える
- 得られるのは「使える筋肉」。鍛えた筋肉ではなく、実際の動作の中で機能する筋肉
- 腰痛・肩こり・疲れやすさの多くは「筋力不足」ではなく「連動の欠如」が原因
- ゴルフ・ウォーキング・日常動作、あらゆるパフォーマンスに直結する
- 続けると、体の動きの可能性が根本から変わる
「運動はしたいけど、何から始めればいいかわからない」「ジムに通ったけど続かなかった」という方、まずは一度、自分の体がどう動いているかを確認するところから始めてみませんか。
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